勉強のやる気が出ない時は無理しなくて良いか? 医大生が回答してみた

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みなさん、こんにちは。スタディPRIMEのしろです。

突然ですが、塾の生徒から、よくこのような質問を受けます。

勉強のやる気が出ない時は無理して勉強しても意味ないですよね?

おそらく、みなさんの中にも、同じ考えをお持ちの方が多数いらっしゃると思います。

今回は、現役医大生であり、かつ塾講師歴5年の筆者が、自身の経験と心理学の観点から、回答・解説していきたいと思います。

この記事を読み終える頃には、勉強するべきか or しないべきかの答えが分かり、その次につなぐ方法を模索し始めたくなっていることでしょう。

結論:やる気がなくても勉強すべき

結論は、やる気がなくても勉強はするべきです。

みなさんの気持ちは、私も痛いほど分かります。何せ、私自身も医学部受験の中で毎日十数時間も勉強し、やっと合格して入った大学でも国家試験に向けて十数時間勉強する毎日。

受験の年と大学入学からの月日を足しても、かれこれ六年ほど勉強し続けています。

それだけ勉強していれば、1日くらいはやる気がなくなる日もあります(実際には、1日どころではありませんが)。

こんな私だからこそ、声を大にして主張したい。

たとえやる気が出なくても、勉強はしなさい、と。

やる気がなくても勉強すべき3つの理由

さて、ここからが本題です。

なぜ、やる気がないにも関わらず勉強をするべきなのでしょうか?

そこには、3つの理由があります。それぞれに、心理学的根拠や、経験上の根拠がありますので、それぞれ見ていきましょう。

セルフ・ハンディキャップは、成績と負の相関があるため

まずは、セルフ・ハンディキャップ(SHC)の定義から確認しましょう。

セルフ・ハンディキャップ(SHC)
失敗の要因を外在化し,成功の要因を内在化する機会を増やすための行為,または能力の調整と定義される
ー Berglas & Jones, 1978

SHCは、先制的な言い訳とも言われます。

通常、言い訳は都合の悪いことが明らかになった時、取り繕うために行われる発言です。それに対し、SHCは結果が明らかになる前に行われる言い訳です。

具体例:
テストで良い点を取れないかもしれない、という不安感から、部活の大会が近くて練習しなきゃいけないから勉強時間が取れない、などと先制的な言い訳をする。

SHCを採用すると、このような悪影響があることが種々の研究により分かっています。(かっこ内は、論文の著者と発表年)

  • 故意に努力をしなくなる,手を出しすぎる,成功するには間に合わなくなるまで遅らせるなどの弊害が生じる(Schunk & Zimmerman, 1998)
  • 成績が悪い(Urdan & Midgley, 2001)
  • 他者からの能力評定と好意が低下する(Smith & Strube, 1991)

『やる気がない、だから勉強しない』というのは『やる気がないんだから、勉強できなくても仕方ないよね』というSHCの一種であることは明白でしょう。

これを許してしまえば、上にあげた影響を受けることになります。したがって、やる気がなくても勉強しなければいけないのです。

1日の遅れを取り戻すには、非常に大きな努力を要するため

まずは、こちらの名言をご覧いただきます。

一日練習しないと自分にわかる。二日だと批評家にわかる。三日となれば聴衆にわかる。

ヤッシャ・ハイフェッツ

彼は、20世紀を代表するバイオリニストですが、そんな人が三日サボれば誰にでも分かるほど腕が落ちる、と言っているのです。

それはバイオリンの話であって、勉強に適用できるのか、という批判も当然あることでしょう。そこで、具体的な事例を見てみましょう。

事例:
毎日7時間勉強する計画を立てていたとする。もし1日サボれば、失った7時間を補うため、1日の勉強時間に+1時間したとしても、取り戻すのに1週間かかる。
4日サボったなら、取り戻すのに4週間(≒1ヶ月)かかる。

このように、1日のツケを支払うのには大きなコストがかかります。

したがって、やる気がなくても勉強するべきなのです。

自己効力感の低下を引き起こし、負のループに突入するため

やる気は心理学の研究分野のひとつであり、その代表的な理論に『期待価値理論』と呼ばれるものもあります。

期待価値理論
やる気は、やれば出来そうという期待と、やれば成長につながるなどの価値の積で表されるという理論

自己効力感とは、この期待価値理論における期待感のひとつです。

自己効力感(Self-efficacy)
目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること

自己効力感を生み出すためには、4つのポイントがあると産みの親アルバートは述べています。

  1. 直接的達成経験
  2. 代理経験
  3. 言語的説得
  4. 生理的・情動的喚起

今回重要なのは、『直接的達成体験』です。

直接的達成体験は、目標を達成した経験から、困難を目の前にしても折れにくい自信を育むことができる、というもの。

これを逆に解釈すると、『やる気がない』という困難に折れて、『勉強をしない』という選択を取ることは、自己効力感を低下させることになります。

つまり

やる気がないからと、勉強しないでいると、それが原因でさらに勉強のやる気を低下させることになる

ということです。

『やる気が出ない→勉強しない→やる気が出ない』の負のループに突入です。

勉強少なめDayならOK

ここまで、やる気がなくても勉強するべきだ、という主張と、それをサポートする理論を展開してきました。

しかし、『やる気がないのに、ダラダラと非効率な勉強をしても意味がない』という反論があることも重々承知しております。

したがって、私がオススメしているのは、『最低限やるべき目標』と『可能であれば達成したい目標』の2つに分けて、学習計画を立てること。

このやり方のメリットは、

  1. 遅れを最低限に抑えることができる
  2. 自己効力感の低下を避けられる(なんなら、目標は達成しているので上がる可能性もある)

の2点です。

【さいごに】やる気がなくても、最低限達成すべき目標だけはやろう

『やる気がないなら、勉強しても意味がないから勉強しなくてもいいですよね』

という問いに対する私の答えは、

『最低限やるべきことをやった上でなら、その日は休んでもいいのではないか』

です。

事前の計画をサボって遅らせることは、非常に重いデメリットがあります。その一方で、やる気がない状態で勉強しても非効率であることも真です。

したがって、折衷案として、『最低限やるべきこと』と『可能であればやりたいこと』の2種類の目標を立て、その日の進捗や気分によって柔軟に計画を変更できるようにしておくことをオススメします。

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